数字12の由来

論壇:         数字12の由来        5/19/2019

聖書では12という数字は神聖数字として重要な数とされています。これはイスラエル12部族に因んだもので、族長ヤコブの息子が12人であったことに由来します。「モーセは・・十二の石の柱をイスラエルの十二部族のために建てた」(出エジプト記24:4)。また祭司の制服の胸当てには12の宝石が付けられました(同28:15―21)。ヨシュアはヨルダン川を渡るに当たって12の石を記念に立てました(ヨシュア記4:1―9)。これらも12部族に因んだものです。

イスラエルは北王国10部族と南王国2部族に分裂しますが、アッシリアによって北王国が滅ぼされ(BC722年)、12部族の内北王国の10部族は失われてしまいました(列王記下17:6、24)。それにもかかわらず、新約時代になっても12という数字はイスラエル民族を表す象徴的な代名詞となっています。イエスが選ばれたのは12人の使徒でした。「あなたがたも、私に従って来たのだから、十二の座に座ってイスラエルの十二部族をおさめることになる」(マタイ19:28)。黙示録では、新しいエルサレムの十二の門には、十二使徒の名が刻まれます(黙示録21:13)。

しかし旧約聖書における12部族長の名前リストはいつでも同じというわけではありません。ヤコブの息子12人のオリジナル名簿(創世記35:23―26、49章)は、出エジプト後の人口調査の時にはレビが外され、ヨセフの代りに二人の息子エフライムとマナセが加わります(民数記1章)。モーセの祝福にシメオンが省かれる(申命記33章)理由は、その暴力的性格によるのでしょう(創世記49:5―7)。黙示録の144000人の内訳で12部族が登場しますが、エフライムの代りにヨセフが復活し、ダンが削除されています。これはダン族が「静かで穏やかな民シドン人」を虐殺したのが理由でしょう(士師記18章)。

創世記49章のヤコブの遺言祝福は、祝福ではなく叱責と呪いもあります。長男ルベンに対する「お前は父の寝台に上った」という恨み言は、ヤコブ一家がカナンの地に帰郷した初期に起った忌まわしい事件でした(創世記35:22)。ベニヤミンが敵味方なくかみ裂く凶暴な狼だという預言(49:27)は、ベニヤミンが12部族内の内ゲバで絶滅寸前になったことを指しているのでしょう(士師記19―21章)。

この遺言はユダとヨセフに関するものが最も長いので、結局この二人への祝福なのだと言えるでしょう。「王笏はユダから離れず」(創世記49:10)とは、ダビデがユダ族から登場したことによって成就しました。しかし2行後の「ついにシロが来て」という不思議な言葉は、イエスを指すものだと言われますが、実際には解釈不能です。

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