論壇: 信教の自由を守る日 2/7/2021
1966年に「建国記念の日」が2月11日と制定されました。ここに至るまでの歴史を振り返っておきます。
明治政府は日本の建国神話、神武初代天皇(歴史学では全く根拠がない)の即位日(紀元前660年?)を2月11日として、この日を「紀元節」と定めました(1873年)。これは明治における太陰暦→太陽暦換算において異論がある中で決められたもので、正確な日付の根拠はありませんでした。
敗戦後の1948年、GHQは国家神道と軍国主義旧勢力の思想的拠り所としての紀元節を廃止させましたが、旧保守勢力の紀元節再興運動が激化し、野党勢力も反発しました。現在の歴史学では神武天皇の存在に確証がなく「正確な起源が分かっていないのに建国記念日など定められない」こと、また「新生日本の建国記念日としては5月3日の新憲法発布の日がふさわしい」という多くの議論の中で、「日付は改めて有識者会議で決定する」という妥協案の後1966年、「建国記念日」ではなく「建国記念の日」という言い換えで、予定通り2月11日と強行採決で決められました。
この日からキリスト教会はこの日を「信教の自由を守る日」と言い換えて毎年欠かさず抗議活動や勉強会を開催してきました。日本旧来の保守勢力は、天皇を現人神とする宗教観を中心に、天皇に近い距離にいる者ほど上級国民であるとし、一切の批判を許さないタブーをその周りに積み上げてゆく、国家神道体制を再び作ろうとしているのです。つい最近では自民党による「国旗損壊罪」を新設するための刑法改正案が国会に提出されようとしています。これは安倍政権の誤った歴史観と政治右傾化の流れの中で出てきたものです。以下の右傾化の簡単な歴史年表を参照して下さい。
1997:「日本を守る会」「日本を守る国民会議」が合併「日本会議」発足。
(成長の家、神道系団体、民族系団体、右派知識人などの集合体)
1999:国旗及び国歌法案成立:国旗掲揚と君が代斉唱義務化。
2006:教育基本法改正案成立:国と郷土を愛することの義務化。
思想良心の自由(憲法19条)の後退。
2012:日本会議と自民党による自主憲法制定案。
2013:秘密保護法成立。外国人を配偶者に持つ公務員を調査。情報開示へ
の介入(あらゆるものを特定秘密とできる)
2014:安倍内閣、集団的自衛権を閣議決定。海外派兵可能に。
2016:マイナンバー法:国民総背番号制導入。
2017:共謀罪法成立。「準備行為」の拡大解釈によって人権侵害。