アモス書

論壇:          アモス書        1/31/2021

アモス書は執筆年代が詳細に分かる珍しい預言書です。ユダの王ウジヤの治世下(BC783-742)、イスラエルの王ヤロブアム治世下(786-746)です(1:1)。どちらの王も最も長期の統治年代です。またオリエント考古学で有名なBC760年の大地震(1:1)、メソポタミア年代学の基礎と言われる763年の皆既日食(8:9)が書かれているからです。

南王国ユダのテコア(ベツレヘム南約10㎞)の牧者アモスは、主の召命を受け北王国イスラエルがアッシリアによって滅ぼされることを警告しました。当時のイスラエルはアッシリアが国内問題で忙殺され、西方への侵略を控えていた時代でしたので、かつてないほどの繁栄を誇っていました。しかし経済的な繁栄は弱者を犠牲にしたものであり、貧富の差が拡大し、「貧しい者を靴一足の値で売った」(2:6)という、不正義がはびこっていました。

また宗教的には盛んな動物犠牲、きらびやかな礼拝行事でしたが、神は「お前たちの祭りを憎む…祭りの献げ物の香りも喜ばない…竪琴の音もわたしは聞かない」と拒否されます(5:21-23)。その礼拝には心がなかったからです。アモスは王や上流階級の不正と不道徳を攻撃しました。

アモス書には神の歴史支配を表す有名な言葉があります。「わたしはイスラエルをエジプトの地から、ペリシテ人をカフトルから、アラム人をキルから導き上った」(9:7)。つまり古代の有名な大民族移動、古代海洋民族ペリシテ人のパレスティナ上陸、バビロン東からのアラム人の西進、これらは神のなさったことだというのです。内容の梗概は下記の通りです。

1:1、2  表題と主題

1:3―2:5 諸国民に対する神の審判の託宣

ダマスコ、ペリシテの町々、テイルス、エドム、アンモン、モアブ、

ユダ。 神託が周りから円を描くように中心地イスラエルに向かう。

2:6―6:14 イスラエルに対する断罪

中心メッセージ「わたしは、お前たちを捕囚としてダマスコのかなた

の地に連れ去らせる」(5:27)

7~9章 5つの幻と審判

①イナゴの襲来の幻、②審判の火の幻、③下げ振りの幻

アモスと祭司アマツヤの対決

④最後(ケーツ)の幻、商人の不正、大地震、皆既日食

「主の言葉を聞くことのできぬ飢えと渇き」(8:11)

⑤大地震の幻、全世界の神、後の日の回復

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