正月の起源

論壇: 正月の起源(元旦礼拝説教要旨) 出エジプト記12:1-11 1/14/2018
日本の正月は家に「年神様」を迎え祝う行事。年神とは1年の初めにやってきて、その年の五穀豊穣、家内安全を約束してくれる神。従って正月には門松、しめ飾り、鏡餅を飾って歓迎するそうです。
古代エジプトにおいて、ナイル川の氾濫の時期に周期性があることに気づいたのが暦の始まりとされる。適切な農作業の時期を知るのに暦は重要なものとなった。昼夜の周期(地球の自転)が日、月の満ち欠けの周期が月、季節の周期(地球の公転)が年となった。天体運動の周期性に基づく暦法は天文学の基礎となった。
一年の始まりをいつと考えるかは、古代世界ではらばらであった。日本では太陰暦であったが、明治6年に太陽暦を採用。その理由の一つに、明治6年は閏(うるう)月を加えて1年が13カ月となる。ここで太陽暦に変えれば公務員の給料を12回払うだけとなり財政面で助かる。このメリットが、改暦の一つの理由と言われる。
天文学の発達により、地球は太陽系の一惑星に過ぎず、太陽の周りを回っているが、その太陽系自身も銀河の中で2億5千万年の周期で公転していると言われる。不動のものは何一つない。銀河自身も秒速約600Kmで宇宙空間を移動中。どこに向かっているかは誰にも分からない。
春夏秋冬と周期を繰り返す暦は、すべてのものは回転するという思想につながる。従って人の一生も回り巡るという輪回(りんね)の思想が古代世界どこでも生じた。古代オリエント、ギリシャ、ローマでは、黄金の時代が衰退して銀の時代になり、鉄の時代、銅の時代へと変化していくが、再び黄金の時代に戻ってこれを繰り返すと考えられた。ダニエル書2:32に登場する像が、頭から金→銀→銅→鉄という材料で作られていることは、このことを象徴している。
日本での輪回思想は、この世で良い人生を送った者は生まれ変わってまた人間に、しかし悪い人生を送った者はより劣った動物に転生すると教え、これが嫌な者は解脱を目指す。解脱とは、人生の老・病・死・喜怒哀楽から解放されること。これを精神的に目指すことが「悟りを開く」こと。しかしそれは人間の単なる願望と思い込みに過ぎない。
歴史は繰り返すという考え方は人間中心の思想である。聖書の歴史観では、物事には始まりがあり、歴史を導く神によって一直線に目的地(神の国完成)に向かって進んでおり、完成があると教える。聖書では、出エジプトというイスラエルに対する神の直接介入が一年の始まり。個人ではなく、信仰共同体への神の直接介入だったから、イスラエルはこれを宗教の原点、暦の原点とした(宗教歴)。つまり神との関係がスタートラインであり一年の始まり。人生も、国家も、自然も、時間も、神の支配のもとで導かれ、終点を目指していることを認識せねばならない

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