宗教改革運動 3、ルター

論壇:        宗教改革運動 3、ルター     11/1/2020

ルター(1483―1546)の多くの業績を、限られた紙面で網羅することはできませんが、主だった主張点と業績について見てみましょう。

信仰のみ:ルターは修道院で断食、不眠、労働など、厳しい修業を己に課し、罪からの救いを求めました。しかしそれらは彼の良心を満足させません。正直に自分の罪を見つめる時、カトリック教会が与える「罪の赦しを得させる礼典」即ち改悛の秘跡を信じることができなかったのです。特に顕な罪については自覚できても「隠れた罪」がなお残ることに苦しみます。ルターはローマ書を真剣に学ぶ中で「人はただキリスト・イエスによる贖いの業を通して、神の恵みにより無償で義とされる」(3:23、24)にたどり着き、「信仰義認」の教えに到達しました。

聖書のみ:クリスチャンの信仰規準は、教皇の伝承や教会の教えによるのではなく聖書のみと主張。またカトリックの教える7つのサクラメント(聖秘跡)、即ちミサ(聖餐式)、洗礼、婚姻、叙品(司祭になる儀式)、終油(病人に油を注ぐ)、堅信(幼児洗礼を受けた者が正式な信者になる儀式)、告解(悔悛)の内、キリストが定めたのは洗礼と聖餐式の二つだけだと言明。

万人祭司:人間には不変の身分を授けられた聖なる身分(教皇、司教、司祭、修道士)と、俗なる身分(この世のあらゆる世俗的職業)の二種類がある、とするカトリックの教えを否定。聖職者は特別な職務の遂行のために、会衆によって立てられたキリスト者にすぎない。すべての信仰者は祭司であると主張。→ 修道院の否定

(改革派の主張=すべての人はキリストの仲保によって神と交わることができる。牧師はキリストによって召され、教会会議によって権能を与えられ、キリストの代理人となるが、会衆の代表者ではない)

聖書のドイツ語訳:ルターは当時のラテン語訳聖書(ラテン・ブルガータ)からの重訳ではなく、聖書言語のヘブライ語とギリシャ語からドイツ語訳聖書を翻訳した(1522―1545)。これによって教会の礼拝は次第にドイツ語で行われるようになった。

讃美歌制作:ルターは優れた音楽家の指導によって、多くの作詞・作曲を発表。礼拝では司祭が詠唱するのではなく会衆が歌うことができるようにした。ルーテル教会では「教会讃美歌」の中に多くありますが、私たちの讃美歌では101、258、267番が有名です。

多くの著作:弁証、論証のために書いた多くの著作のほかに、トラクト(伝道用小文書)、大・小教理問答書の作品がある。

pagetop