ルターの宗教改革と95カ条の提題

論壇     ルターの宗教改革と95カ条の提題    11/4/2018

先週水曜日(10/31)の祈祷会ではルターの「95カ条の提題」を学びました。ヨーロッパの宗教改革は、1517年10月31日にルターがヴィッテンベルク城塞教会の扉に掲出したこの提題から始まったと言われます。

その95カ条ですが、実際にその「全文」を読まれた方は少ないだろうと思います。ネットで調べても日本語で全文翻訳したものは見当たらず、抜粋したものしかないからです。それで私が複数のソースから集めて、全文に編集したものをテキストにして学びました。

全文を読んでの感想ですが、これは論理的によく整理された「提題」ではなく、よく言われているように「メモ書き」のようなものです。「つぶやき」だと言う人もいます。ルターは当事のカトリック教会が行っていた免罪符(贖宥)販売に我慢がならず、激情をこめて不正を訴え、これで良いのかと、討論を呼びかけるために、これを掲出しました。

「箱の中へ投げ入れられた金がチャリンと鳴るや否や、魂が煉獄から飛び出ると言う人たちは、人間を宣べ伝えているのだ。」(27)という言い方などは、ルターの心の怒りをよく伝えています。

また43~45などは一つの提題に数えることができます。73と74は一続きの文章で、切り離すことはできません。「教皇の紋章をつけて目立つように立てられた十字架が、キリストの十字架と同じであると言うのは冒涜である」(79)などは、当事の免罪符販売に使われた小道具などの風景をよく教えてくれます。

免罪符とは「これを買うとあなたの罪が赦される」というのではなく、「煉獄で苦しんでいるあなたの親の魂を解放する」という理屈です。しかしこのような親孝行をするならば、あなたの魂も救われると、容易に拡大解釈されるわけです。

95カ条の全文を読むことによって、今まで持っていた私たちの前提意識(思い込み)が変わるかもしれません。ご希望の方は、受付に置いておきますのでお読みください。

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