ナホム書

論壇           ナホム書          3/7/2021

ニネベはチグリス川の上流にあり、エルサレムまでおよそ1000kmの距離です。預言書を読むには聖書の歴史年表を知ることが欠かせません。ニネベが聖書に最初に登場するのは創世記10:11で、「最初の勇士ニムロド」がバビロニアに建てた古代国家群の一つとして出てきます。次はアッシリア王センナケリブの居住地として列王記下19:36(同文がイザヤ37:37)に、また小預言書のヨナ書が陥落以前のニネベにヨナが宣教したこと、ナホム書、ゼファニア書にはニネベ陥落の預言が書かれています。

ナホムはイスラエルをこらしめるための神の道具として用いられたアッシリアが(イザヤ7:17)自ら驕り高ぶった時、神が報復されること、どのような国でも神に反逆しようとする者が滅ぶことを描きますが、その反逆は人類の最初期から行われたのです。それがニムロドによる反逆でした(創世記10:8-12、11:4)。

ヨナがニネベで悔い改め説教をしたのは、アッシリアが一時衰退していたBC770年頃だったのでしょう。ニネベの人々は一時的に悔い改めたのですが、テイグラテピレセルⅢ(744―727)の登場によって国力は再興し、西方への侵略が再開されます。あの時の悔い改めは忘れられてしまったのです。その後のアッシリアが行った侵略の複雑な歴史を年表にしました。

738:テイグラテピレセルⅢの西方遠征。メナヘム朝貢(ちょうこう=貢を

納めること)で占領を免れる。(列王記下15:17―22)

733:シリア・エフライム戦争(反アッシリア同盟の失敗=パレスティナ

の内輪もめ:イザヤ7:2)

732:イスラエルの北にあるシリアのダマスコ陥落、イスラエル北方諸地

域の占領と捕囚(列王記下15:29)

722:シャルマナサルⅤ、サマリアを陥落。北王国滅亡(列王記下17:1-6)

704:センナケリブ(704―681)首都をコルサバートからニネベに遷都。

701:センナケリブによるエルサレム包囲。ユダは朝貢。

696:悪王マナセ、アッシリアに従属、異教祭儀導入(列王記下21章)。

671:エジプト遠征、メンフィス征服(アッシリアの征服地最大に)。

663:エジプトのテーベ滅亡(ナホム書3:8)。

しかしこの間にチグリス川、ユーフラテス川下流地域では、新バビロニア帝国、メディア王国、スキタイ人がアッシリアを虎視眈々と狙っていた。

612:バビロニア、スキタイ、メディア連合軍、ニネベを陥落。

609:バビロニア、アッシリア残党をユーフラテス川上流ハランで掃討、

アッシリア滅亡(列王記下23:29)。

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