ミカ書

論壇:          ミカ書         2/21/2021

ミカの活動時代は表題にあるように、ヨタム(BC742-735年)、アハズ(735-715年)、ヒゼキヤ(715-686年)の治世0236で、北王国首都サマリアと南王国エルサレムについて警告のメッセージを説教しました。ミカという名前はミカヤ「誰かヤハウェの如き」(7:18)の短縮形です。列王記上2:8―28に同名の預言者が登場しますが時代が違いますので別人です。ミカはサマリアとユダの陥落を預言し、ヒゼキヤの心を変え、一時的に災いから国を守りました(エレミヤ26:18、19)。

アッシリアでは、テイグラテピレセルⅢ世(744-727年)の登場によって国力は最高となって西方に進出し、イスラエルの北にあるシリアはアッシリアに併合され、ダマスコは陥落し、ガリラヤにまで迫りました(732年)。726年、テイグラテピレセルの息子シャルマナサルⅤ世が後継者となり、722年、サマリアは陥落しました(列王記下17:1-6)。

執筆時期については、バビロンの名前が登場する(4:10)ことからBC705年とする学者もいます。これは愚かなヒゼキヤ王がバビロンからの見舞客に対して、国家秘密である宝物庫、武器庫を自慢げに見せたことを預言者イザヤが怒り、バビロン捕囚を預言したことによるものです(列王記下20:12-21)。

ミカ書の中心的テーマは貧富の差、道徳的腐敗、土地所有者たちの不正、政治と宗教の腐敗への告発と審判です。特に宗教については、真の預言者たちを「たわごとを言う者」(2:11)と嘲笑い、偽預言者、先見者、託宣者(占い師)の間に賄賂が横行し、エルサレムは神の都だから滅びることはないと安易な信仰を唱えていたのです。「主が我らの中におられる(インマヌエル)ではないか、災いが我々に及ぶことはない」(3:11)。

それに対してミカは「主の示される道」「主の教え」(4:7)に立ち返るようにと説教しました。ミカ書は警告(審判)と復興(回復)がサンドイッチのように交互に編集されています。アウトラインは下記のとおり。 

1―3章:イスラエルとユダへの告発

間奏曲挿入=神の民の回復(2:12、13)

支配者階級、民の指導者の悪行に対する審判

4-5章:終末の王国についての幻を預言することによって民を慰める。

ベツレヘムからメシアが登場する預言(5:1)

6章:論争形式での主の告発:中心テーマ=主はお前に何を求められるか

7章:民の腐敗を告発、不正に対する嘆き、主を仰ぐミカの祈り

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