ゼファニヤ書

論壇        ゼファニヤ書概要       3/21/2021

預言者ゼファニヤ(「ヤハウェは隠した」の意)は、1:1の表題によれば北王国イスラエルがアッシリアによって滅ぼされた(BC722年)後でも存続したユダ王国第17代のヨシヤ王(在位BC640―609)の時代に活動しました。先祖の名が5代も遡って記されていますのでかなり良い家柄だったのでしょう。

ユダでは悪王マナセ(687―642)とアモン(642―640)の治世下で最悪の異教祭儀が行われ、宗教的道徳的退廃の時代でした(列王記下21章)。国外では新興国バビロニアがアッシリア帝国に脅威を与えていました。

良き王ヨシヤは宗教改革で有名ですが(621年、列王記23章)その改革運動は彼一代限りでした。その子ヨアハズは「先祖たちが行ったように、主の目に悪とされることをことごとく行った」(列王記下23:32)と戻ってしまい、たった3カ月の治世の後エジプトに捕囚となり、その地で死んでしまいます。ユダ王国はエジプトの属国となりました(列王記下23:31―35)。

ゼファニヤはユダの偶像礼拝を非難していますから(1:4、5)、ヨシヤ王の宗教改革前だったのか、それとも宗教改革が徹底できなかった状態を表しているのか、学者間でも解釈が分かれるところです。エレミヤも同じように偶像礼拝を非難していますから(2:8、8:2、19:5、13など)、ゼファニヤと同時代に活動したのでしょう。

            アウトライン            

第1部:ユダに対する審判(1:1-2:3)

バアル礼拝、天の万象礼拝、マルコム(アンモンの神)礼拝

を非難(1:4、5) 「主の日は近づいている」(1:7)

「主の大いなる日」「主の憤りの日」「主の怒りの日」

第2部:諸国民への審判(2:4-15)

ペリシテの諸都市(ガザ、アシュケロン、アシュドド、エクロン)

クレタの民(ペリシテの出身地)への審判(2:5―7)

近隣諸国(モアブ、アンモン、クシュ、アッシリア)への審判

第3部:エルサレムへの警告と回復預言(3章)

エルサレムの指導者たちの罪を告発(3:1-5)

神の審判の様子(6―8)

諸国の民の回心、エルサレムの回復、神の臨在「イスラエルの王

なる主はお前の中におられる」(3:15)

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