論壇: コヘレトの言葉 3 7/18/2021
コヘレトの言葉は信仰者と不信仰者の対話で、信仰者は不信仰者の「人生は空しい」という愚痴に相槌を打ちながらも「しかし神の存在に目を向けるならばこの世の見方が変わる」と説得します。不信仰者は神を前提した対話の中でも、「それでも空しい」と抵抗しますが、次第に信仰者の説得(伝道)に同意せざるを得なくなります。このように理解した上でコヘレトの言葉を私流に分析しますと、二人の対話は下記のような流れになるでしょう。信仰者=○、不信仰者=×
×(1:1―2:23):ソロモンのように贅沢三昧の人生だったとしても、やっぱり人生は空しい。
○(2:24―3:17):飲み食いで楽しもう。しかしそれも神の手からいた
だくものだ。この世には「時」があるように「神の時」があるのだ。人は動物と違って「永遠」を考えることができる。これが神の賜物だ。
×(3:18―20):人も動物も同じように塵に返るじゃないか。
○(3:21―22):行き先が違うだろう。
×(4:1―8):毎日金、金で必死になっていたあいつを覚えているだろ
う。結局孤独で過労死したよな。やっぱり人生は空しい。
○(4:9―12):一人で生きていくことなんかできやしないさ。
×(4:13―16):一世を風靡したあの天才少年だってすぐに忘れ去られた。
ましてや平凡な俺たちにとって人生はやっぱり空しいのさ。
○(4:17―5:6):いい加減に愚痴ばっかり言うのは止めろ。神がお前
の愚痴を聞いておられるよ。「神を畏れ敬え」。
×(5:7―16):この世は不正義ばかりだよ。貧富の差はひどいもんだよ。
神がいるなら何でこんな不幸ばっかりの世の中なのかね。
○(5:17―19):与えられた富について、神に感謝するべき。
×(6:1―6):どちらも死んでしまえば同じだろう。
○(6:7―7:22):死んだ後どうなるかは神しか知らない。
×(7:23―26):死より怖いのは女だよね。
○(7:27―29):神は人間をまっすぐに造られたのだがね。
×(8:1―10):人間は与えられた運命から逃れることはできない。
○(8:11―14):悪がきちんと罰せられる世の中にしないとね。
×(8:15―9:16):お前の言う通りすべては神の手の中にあるとしよう。
けれど結局死んだらおしまいだろう。今の内に快楽の内に生きよう。
○(9:17―終):静かに考えてみよう。確かにこの世は矛盾だらけだ。しかし「全てのことを成し遂げられる神の業が分かるわけない。神なしでは何もかも空しい。老人になる前に創造主を覚えよ。