預言書シリーズ説教

論壇:         預言書シリーズ説教       11/15/2020

52章あるエレミヤ書を先週と今週の2回の説教で終わらせるのは乱暴ですが、2020年1月5日に「新しい契約」と題してエレミヤ書31:27―34を説教していますので。実際には3回の説教になります。

2019年2月10日から始めた「旧約聖書の重要テキスト」シリーズを、私の任期中に終わらせたいと思いますので、預言書についてはそれぞれ1回または2回の説教とします。それで今後の預言書シリーズは、それぞれの巻の中心メッセージを紹介するにとどまることになります。イザヤ書とダニエル書はすでに1回説教していますので、エゼキエル書を2回、小預言書(ホセア~マラキ)は1回ずつという見通しです。来年の後半は皆様のご希望が多い黙示録を説教できればと思います。

預言書各巻の中心メッセージは、神がイスラエルの偶像礼拝を契約違反として、また神に対する姦淫行為であるとして厳しく叱責されることです。にもかかわらずイスラエルには偶像礼拝が蔓延したことを、どの預言者も具体的な描写で描きます。そして偶像礼拝に必ず現れるのが社会的不義で、この二つはセットになっています。

偶像礼拝が最もあからさまになったのは、ユダのアハズ王がアッシリアの属国になる道を選び、エルサレム神殿にアッシュール神の祭壇を築いたことです(列王記下16章)。その結果庶民にはアシェラ礼拝、星辰崇拝、人身御供、バアル礼拝がはびこり「主はイスラエルに対して激しく憤られた」のです(17:16―18)。

偶像礼拝は結局神との取引で、自己中心の考えかたですから、神の不変的愛、正義、倫理などは求めません。特に王、貴族などの指導者層は過酷な税を取り立てて贅沢な暮らしを増長させます。貧しい人々、孤児、寡婦、奴隷などはさらに不幸になり、富の不公平は社会不安を引き起こし、国は弱体し、諸外国に付け込まれて侵略戦争を招きます。預言者たちはこの社会的不義を下記のように糾弾しました。

「正義と恵みの業を行うなら必ず生きる」(エゼキエル18:21)。「商人は欺きの秤を手にし、搾取を愛する」(ホセア12:8)。「彼らは…遊女を買うために少年を売り渡し、酒を買うために少女を売った」(ヨエル4:3)。「弱い者を圧迫し、貧しい者を虐げる女たちよ」(アモス4:1)。「役人も裁判官も報酬を目当てとし」(ミカ7:3)。「暴虐と不法が私の前にあり、…正義はいつまでも示されない」(ハバクク1:3、4)。「役人はほえたける獅子、裁判官たちは夕暮れの狼」(ゼファニヤ3:3)。「やもめ、みなしご、寄留者、貧しい者らを虐げず」(ゼカリヤ7:10)・・。

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