理性(言葉)と感情(賛美)

論壇:      理性(言葉)と感情(賛美)      12/15/2019

イエス誕生の知らせは、野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた羊飼いたちに、天使によってまず言葉で知らされ、その後天使の大群が現われて讃美歌を歌いました。「いと高きところには栄光、神にあれ。地には平和、御心に適う人にあれ」(ルカ福音書2章)。

神様が御心を人間に知らせるには、人間の言葉を用いられます。しかし時には神の怒り、神聖さ、厳かさを表すために風、嵐、雷、地震という自然現象が用いられることもあります。そしてもう一つ重要な手段が音楽です。天使の大群が人間に聞かせるために大コーラスをしたのは、聖書の中でここと黙示録だけです。さぞかし驚くべき荘厳な音楽だったでしょう。

人類最初の音楽家として記録されるのは牧畜業者ヤバルの弟ユバルです。アダムやエバがどんな音楽を歌ったのか書かれていませんが、ユバルは「竪琴や笛を奏でる者すべての先祖」となりました(創世記4:21)。ユバルは人類最初の殺人者カインの末裔です。このカインの末裔から4種類の人間が出ました。都市の建築者(文明)、牧畜業者、鍛冶屋(武器製造人)、そして音楽家(享楽)です。

この時の音楽とは、牧畜業の退屈さと寂しさをまぎらわし、自分を慰める遊興目的の、あくまで人間によって造られる、人間の楽しみのための音楽でした。その行き着く先は戦争賛美、復讐の歌、神を呪う歌となってしまいます(4:23、24)。

これに対してカインの末裔ではない人種が興されます。それがアダムとエバが新しく産んだセトとその子どもエノシュ。「主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである」(4:26)。この時代から正しい信仰、神礼拝が始まり、この人々の子孫から、自分を楽しませる音楽ではない、神を賛美する新しい音楽が始まりました。

聖書で最も古い讃美歌とされるのは「海の歌」です。葦の海(紅海)を渡った奇跡を賛美してイスラエルの民が賛美し、ミリアムと女たちが小太鼓を叩き、踊りながら賛美しました(出エジプト15章)。後の時代になるとデボラの長い歌も記録されます(士師記5章)。ついにはハープ演奏家のご先祖ダビデが登場します。

神様は言葉と音楽を用いて御心を伝えられます。神様ご自身がイエスという目に見える人物として人類の中に現われてくださったのがクリスマスです。神はこの喜びのニュースを、言葉と賛美で伝えられました。それは人間の理性に対しては御言葉で、人間の感情に対しては賛美(音楽)でした。神の喜びの心は音楽によっても表わされたのです。私たちもクリスマスには、神様をほめ称えて、多くの讃美歌を歌いましょう。

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