天皇制と政教分離

論壇:         天皇制と政教分離       10/20/2019

今週22日に天皇の「即位礼正殿の儀」が行われます。これは新天皇が国の内外に即位を宣言し、内外の代表が祝う儀式です。宮中の正殿中央には古代の神話に則って、天皇の玉座とされる高御座(たかみくら)が作られ、ここに立った天皇の即位宣言の「おことば」に対して内閣総理大臣が代表して「臣下の礼」を取り、万歳三唱をするというものです。

そしてこれらにかかる公金(税金)支出は、即位礼だけで17億6000万円、その後に行われる祝賀行列、響宴(パーティー)、大嘗祭(だいじょうさい=天皇が神になる儀式)と一連の儀式にかかる総額は何と166億4000万円と計上されています(産経新聞)。これらは明らかに日本国憲法に違犯していますので、どの条項に抵触するのかを見てみましょう。

第1条:「天皇は日本国の象徴であり、…この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」

即位礼は日本国憲法の最も重要な主張である「国民主権」「主権在民」原則を踏みにじるものであり、国民の「上に位置する」別の人間があるかのように洗脳するものです。これは戦前の天皇は現人神(あらひとがみ)であるという迷信を再度復興させようというものです。

第20条①:「信教の自由は、何人に対してもこれを保証する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。③:「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」

公務員の中で相当の地位にある者は列席を強制され、祝賀に水を差すような発言をする者は罰せられます。10月22日に学校行事をいつもどおり行うようなミッションスクールには補助金のカット、企業には入札制限などのいやがらせが露骨に行われるかもしれません。信教の自由への侵害は個人だけではなく、学校や企業、教会にも迫っています。

第89条:「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、…これを支出し、又はその利用に供してはならない。」

前回の即位礼、大嘗祭の時の支出よりも今回は3割もUPすると言われます。一宗教法人に過ぎない靖国神社に閣僚が公に参拝することがアジア諸国から批判を浴びていますが、即位礼も海外から参列者を招くなら無宗教で行うか、皇室神道という宗教行事であることを明確にした上で、公費を使用してはなりません。

この問題を詳細に説明した「政教分離」の木村庸五弁護士(湖北台教会長老)の解説を掲示しておきますのでお読みください。

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