ヨブ記 3

論壇:         ヨブ記、3         6/6/2021

ヨブ記を理解するには、三段階にわたって描かれたヨブと3人の議論を一段階ずつまとめて読む必要があります(5月9日の論壇参照)。段階ごとに議論の変化があるからです。

ヨブと三人の友との第1回の議論(4~14章)

三人の発言には訓戒、勧告、奨励の要素がある。友人たちはヨブを励まし説得しようと努力する。エリファズはヨブの独白の中に、危険なものが潜んでいると感じ、ヨブを訓戒し正しい道に引き戻そうとする(4、5章)。

ビルダドは「あなたが潔白なら神はあなたを顧り見る」(8:6)と友人全員に共通する公的見解の(当たり前の)勧めをする。「人間は神の前に正しくない」という公式論はヨブにとって何の助けにもならない。ヨブは「仲裁者」(9:33)を求める。

罪を犯したなら悔い改めればよい。しかし罪を犯した覚えがないヨブにはどうしたらよいか分からない。ヨブは「私の罪咎を示してください」と訴える(13:23)。

第2回の議論(15~21章)

友人たちは「罪に対する罰」という因果応報論しか頭にない。ヨブがあまりにも自分の正しさを主張するので、ヨブの魂に配慮した発言がなくなり、「神に逆らう者は滅びる」との公式論ばかりが出る。

ヨブは傲慢で(15:25)不信仰であると糾弾される。

ヨブは「私に対する神の仕打ちは納得できない」と魂の叫びを発するが、友人たちはこれを神への冒涜発言とする。ヨブは「私を弁護してくださる方、私のために取り成す方」を求める(16:19、20)。この方は後に「贖う方」(ゴーエール)と呼ばれる(19:25)

第3回の議論(22~27章)

ヨブが正しい道に立ち帰ることの希望は捨てられ、ヨブは罪人として非難され、厳しく警告される。エリファズの「神に従い、神と和解しなさい」(22:21)という忠告も、ヨブには空々しく聞こえる。次第に友人たちの態度に怒りといら立ちが現われる。ヨブは「断じて、あなたたちを正しいとはしない。死に至るまで、私は潔白を主張する」(27:5)とエスカレートする。

28章(全体の間奏曲)神の賛美:人間の側にどれだけ探究心があっても、知恵を見出すことはできない。

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