ハガイ書概要

論壇          ハガイ書概要       4/11/2021

預言者ハガイは父の名が記されていませんので、当時のユダヤ世界では「預言者ハガイ」というだけで良く知られていたのでしょう。ユダヤの伝承ではハガイはバビロンで人生の大部分を過ごしたと言われます。「誰が昔の栄光のときのこの神殿を見たか」(2:3)と言っていますので、ハガイはソロモン神殿を見たことがあるのでしょう。その後バビロンから帰国したのですから相当の年齢でした。神殿再建の遺言説教を叫んで没したという劇的な人生の最後でした。

ゼカリヤもハガイと同時期に活躍しました。ハガイの預言開始は「ダレイオス王第2年(BC520年)6月1日」(1:1)、ゼカリヤは同8月(ゼカリヤ1:1)です。捕囚からの帰国者たちは「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい」(マタイ:33)を実行するために、神殿を再建しようとしたのですが、現実は大変困難な状況でした。神殿再建に至る歴史と、その後の主な出来事を見てみましょう。 

539:ペルシャ王キュロス、バビロンを征服

538:キュロスの勅令によるバビロン捕囚の帰還開始

537:神殿の基礎完成。しかし昔の神殿と比べてはるかに小規模だ

ったので、昔の神殿を見たことのある多くの年取った祭司

たちは「大声をあげて泣いた」(エズラ3:12)。

混血の現地住民(エズラ:2)の妨害、また飢饉により(ハガ

イ1:6)、520年まで神殿建築中断(エズラ記4章)

520:ハガイ、ゼカリヤによる神殿建築の呼びかけ(ハガイ1:1)

515:神殿完成(エズラ6:15)

490:第1次ペルシャ戦争(対ギリシャ、マラトンの戦い)

444:ネヘミヤ帰還(ネヘミヤ1:1)、城壁の修復開始

 330:アレキサンドロスによってペルシャ滅亡         

ハガイ書の構造は大きく3区分されます。

①、520年6月:ハガイの檄「今こそ神殿を建てよ」(1:1-11)

民の応答(1:12-15)

②、520年7月:ハガイの檄「勇気を出して仕事に取りかかれ」

そうすれば「この神殿を栄光で満たす」(2:1-9)

③、520年9月:約束と預言(2:10-23)

「今日この日から、わたしは祝福を与える」(2:19)

「ユダの総督ゼルバベルを…わたしの印章とする」(2:23)

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