テトスへの手紙緒論

論壇:       テトスへの手紙、緒論      5/6/2018

本日から3回、表題の手紙の連続講解をします。パウロはこの手紙をニコポリスから書いています(3:12)。勝利の町という名はたくさんありますが、ギリシャのアカイア州といわれます。

テトスはギリシャ人で(ガラテヤ2:3)、パウロの弟子になり、パウロのコリント宛書簡を配達したり(Ⅱコリント7:5-16)、エルサレムの貧しい人々のための献金を集める助けをするなど(Ⅱコリント8:6)、良い働きをしました。

エルサレムの使徒会議(使徒言行録15章、異邦人がクリスチャンになるには、洗礼のほかに割礼が必要かどうかという大問題を扱った会議)にはテトスも同行していますので(ガラテヤ2:1)、「割礼を受けている人たち」(テトス1:10)を警戒せよという言葉の重要性もよく理解したことでしょう。

パウロはテトスのことを、「彼は私の同志、あなたがたのために協力する者、諸教会の使者、キリストの栄光」と誉めています(Ⅱコリント8:23)。テトスはパウロの手紙には13回登場します(その内Ⅱコリント書に9回)が、使徒言行録には登場しません。

テトスはクレタ島で長老、監督たちを立てる責任を持っていましたので、パウロはその資格を判断する基準を教えると共に、偽教師の中で孤軍奮闘するテトスを励ましています。

概要

1章:クレタ島の教会(家の教会)に指導者を立てるための指示。監督たる者の資格。偽教師たちを沈黙させるために、健全な教えを積極的に教えよとの命令。

2章:若い教会員たちに模範を示すことができるように、年配の教会員たちを教えよ。奴隷たちに、その主人に従うことを教える。主の再臨に備えて、「この世で、思慮深く、正しく、信心深く生活するように」と勧める。

3章:クリスチャンは何よりも善良な市民であるべき。「だれをもそしらず、争いを好まず、寛容で、すべての人に心から優しく接しなければならない」「良い行いに励もう」と具体的に教える。

歴史的に有名な聖句

「クレタ人はいつも嘘つき」(1:12)はエピメニデス(BC600頃、古代ギリシャの詩人、哲学者)の引用。エピメニデスがクレタ人なので、論理的矛盾、パラドックスが生じる。

pagetop